ETFとは上場投資信託(Exchange Traded Fund)のことです。
投資信託の一種ですが、名前のとおり上場しているので、普通の投信とくらべて、株と同じように売買できる投信、というのが特徴です。
投資するファンドをしっかり選べば、自然と分散投資されますので、普通の投信同様、投資・株の初心者にはオススメの金融商品です。
ひとことで言ってしまえば、ETFは通常の投信に比べて「30万円以上の投資を一気におこなう場合にオススメ」ということです。
2014年時点で、世界でETFは250個前後ありますが、当サイトがオススメするETFは「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」、略称「VT」と呼ばれる海外ETF1本のみです。
ですので、30万円以上を一気に投資できる人は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドや世界経済インデックスファンドよりも、VTに投資をするのがオススメ、ということになります。
<ETFの特徴まとめ>
管理手数料(信託報酬)が安いかわりに、購入手数料が高い(一番重要)
海外ETFと国内ETFにわかれ、もっぱら人気なのは海外ETF
国内ETFは売買手数料が個別株と同じ
海外ETFは購入・売却金額に依存しない定額の購入手数料がかかる
海外ETFを買う場合は、各証券口座で外国株式取引口座を開設後、外貨を買ってから購入する(このとき為替手数料がかかる)
最低購入額が高い
海外ETFは源泉徴収つき特定口座が使えないことが多く、確定申告をして自分で税金をおさめる必要がある
配当金(インカムゲイン)の再投資は自分でおこなう必要がある
インデックスファンドが多く、通常の投信とくらべて「はずれ」が少ない
国内ETFは日本国内しか投資しない一方、米国ETFなどの海外ETFは世界経済に分散投資している
もっぱら新興国を投資対象にしたETFは、類似内容の投信より、信託報酬を含めてあらゆる手数料が安くなる
純金を専門に投資する金ETFがある(詳細は純金投資の項目を参照)
<通常の投信とETFの比較まとめ>
投信 | 国内ETF | 海外ETF(米ドル建) | |
---|---|---|---|
年率管理費 | 0.5%~2% | 0.1%~0.5% | |
購入手数料 | 無料が多い | 個別株と 同じ | 一律 2500円前後 |
売却手数料 | 0.1%~0.5% | ||
為替手数料 | なし | 1ドルにつき25銭 SBI証券は0.8~1.2銭 | |
最低購入額 | 500円 | 約5万円 | |
税金支払い | 手間いらず (源泉徴収が可能) | 手間がかかる (確定申告の必要) | |
自動再投資 | あり | 不可 | |
運用スタイル | アクティブ型多め (大体が悪質) | インデックス型多め (初心者向け) | |
価格発表頻度 | 1日1回 (基準価額発表) | リアルタイム (立会時間の株価) | |
注文方法 | 積立 スポット購入 | 成行・指値・逆指値など豊富 ただし積立はなし | |
信用取引 | 不可 | OKなものがある |
(優れている部分は赤字で表示)
投信の価格である基準価額は、1日1回しか発表されません。
しかしETFの価格は、株と同じように株価で判定します。
ですから立会時間はリアルタイムに価格が推移します。
ETFはTOPIXなどの指数に対する連動基準があり、あまりに成績が悪いものは上場廃止となるので、通常の投信と比べて善良的なものが多いです。
それに関連し、ETFは指数に連動して市場の平均点を狙って運用する、初心者向けのファンド(インデックス型)が多いです。
まれにアクティブETFと呼ばれる、リスクの大きいアクティブ型ファンドも存在します。
国内ETFの数は通常の投信と比べて少なく、国際分散投資できる優良なファンドもありません。
ですので基本的には、外貨建ての海外ETFがオススメとなります。
ETFは個別株と同じ扱いなので、最低購入額が比較的に高いことにも注意します。
いわゆる積立てによるドル・コスト平均法は使えません。
たとえば後述のオススメETFであるVTは、2014年時点で、最低購入額が6万円前後です。
ただし実際は購入手数料をおさえる関係で、最低でも30万円以上で購入することがオススメです。
ETFは株と同じように配当金がでます。
上場している以上「ファンドの分配金」という形ではなく、配当金になります。
よって投信のように、自動で再投資にまわすことができません。
複利効果を考えるなら、またふたたび自分で配当金を投資していく必要があります。
ようするにETFは、メインが売却益目的の投資になっていくわけです。
日本株式を中心に投資している国内ETFは、数が少ないこともあり、運用成績にはほとんど差がありません。
基本的に当サイトの初心者オススメETFはVT1本ですが、自分で国内のアセットアロケーションを組むという人は「上場インデックスファンドTOPIX」がオススメです。
信託報酬(年間管理費)が年率0.08%という、比類なき低さですみます。
その名のとおり、日本株式の代表的指数であるTOPIXに連動します。
2014年時点で、15万円前後から購入が可能です。
国内ETFで株と同じ扱いですので、各証券会社でとりきめられた株の売買手数料がかかります。
国内ETFは、くれぐれもアセットアロケーションの一部として使うようにしてください。
これらのETFでは、日本の株式にしか投資されません。
全額を一括で投資したいという忙しい人は、前述のVT、世界経済IF、セゾン・バンガードGBFなどを使います。
海外ETFとは、海外の証券取引所(NY市場など)に上場している投資信託のことです。
海外ETFにはティッカーコードと呼ばれる略式の英字があります。
バンガード・トータル・ワールド・ストックETFであればVTです。
日本では証券会社を介して、外国株式取引口座を開設、日本円を米ドル、香港ドルなどに交換して、外国株と同じように取引することができます。
日本で買える海外ETFは、おもに米国ETFと中国ETF(香港ETF)のふたつです。
最近では韓国ETF、シンガポールETFなどもでています。
なお米国ETFだからアメリカの株しか投資されていない、ということではありません。
日本の投資信託と同じように、米国ETFや中国ETFといった海外ETFも、世界中に分散投資していますので「これ一本を買えば世界中に投資できる」という商品がたくさんあります。
日本の国内ETFはもっぱら日本株式にしか投資せず、日経平均株価やTOPIXといった指数のみが連動対象なので、この点は勘違いしやすいです。
注意しましょう。
海外ETFは地域型からグローバルバランス型まで無数にあります。
グローバルバランス型であれば、MSCI、FTSE、S&Pといった世界経済指数を連動対象とします。
2014年時点で、米国ETFを筆頭とし、海外ETFは250個ほどあります。
この数年でおよそ100個ほど増えていますから、日本のETFと比べるとにぎわいを見せています。
初心者がETFを買うなら、国内ETFよりも、世界経済に分散投資できる海外ETFが断然オススメです。
外貨建てなので、為替リスクぶんの利益を得ることもできます。
オススメの海外ETFは、前述のように、バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)です。
他にはiシェアーズ・グローバル・100ETF(IOO)などがあります。
ETFで一番着目すべきは、通常のインデックス型投信よりも安い信託報酬(管理手数料)ですむ、ということです。
投信よりもETFを買うことに意味があるのなら、この管理手数料の安さが唯一の理由、と言ってもいいです。
オススメのグローバルバランス型投信であるセゾン・バンガードGBFは、年率0.74%±0.03%の信託報酬。
世界経済IFは0.525%の信託報酬です。
一方VTは、0.18%という破格の信託報酬(エクスペンスレシオ)ですみます。
<オススメ投信・ETFの管理手数料比較>
年率手数料(信託報酬) | |
---|---|
セゾン・バンガードGBF | 0.74%±0.03% |
世界経済IF | 0.525% |
VT | 0.18% |
投信に自分があずけいれているお金のうち、上記の手数料が1年ごとにひきぬかれます。
つまりVTでは、1年間100万円を投資しているとして、1800円程度の手数料ですむ、ということです。
またグローバルバランス型ファンドでは、年率平均7%ずつ資産が増えていきます。
つまり100万円あずけていれば、1年に7万円がふえるわけです。
ですので単純計算でVTでは、利益が7万円でるぶん、手数料として1800円を払う、ということにもなります。(実際はもっと複雑な計算になります)
7万円の利益に対し、投信でオススメのセゾン・バンガードGBFですら7400円の手数料、世界経済IFもまた5250円かかるわけですから、この1800円という数字がどれほど格安であるかは、よくわかるでしょう。
また土台のしっかりしたグローバルバランス型ほど資産残高がふえていくので、無駄に手数料を回収する必要がなくなり、年々信託報酬はさがっていきます。
これはVTにかぎらず、セゾン・バンガードGBF、世界経済IFも同じです。
<VTの年間管理手数料(信託報酬)の推移>
2009年 | 0.3% |
---|---|
2010年 | 0.25% |
2013年 | 0.19% |
2014年 | 0.18% |
今後も、手数料の減少が期待できると言えます。
<オススメ投信・ETFの手数料比較>
セゾン・バンガードGBF | VT | |
---|---|---|
運用管理費年率 | 0.74% | 0.18% |
購入手数料 | 無料 | 2650円(一律) |
売却手数料 | 0.1% | 2650円(一律) |
為替手数料 | なし | 1ドルにつき25銭 |
セゾン・バンガードGBFや世界経済IFといった投信では、積立てを使っているかぎり購入手数料は一切かかりません。
しかしETFは積立ての機能がなく、購入手数料がかかることに注意します。
「ETFは30万円以上から購入するのがオススメ」というのは、この購入手数料があるためです。
ETFでは購入回数はへらしていったほうが、節約になります。
国内ETFであれば各証券会社で設定された、株と同じ売買手数料がかかります。
海外ETFであれば、SBI証券・楽天証券・マネックス証券のどれでも、購入金額に依存しない一律の購入手数料(2500円前後)がかかります。
正確には、以下の購入手数料となります。
<米ドル建て海外ETFの購入手数料比較>
マネックス証券 | 完全一律25ドル(およそ2500円) |
---|---|
SBI証券・楽天証券 | 一律26.5ドル(およそ2650円) |
(SBI、楽天については1000口以上買う場合、1000口から1口ごとに2.1セント(2.1円)を追加)
海外ETFの購入手数料は外貨の価値に依存するため、つねに為替レートの影響をうけて、上下に多少変動します。
上述の手数料も、1ドル=100円とした場合の手数料です。
VTにかぎらず、米ドル建ての海外ETFを買う場合は、この購入手数料がかかります。
目安ですが、2014年であればVTは1口60ドル前後ですので、1000口で6万ドル、円換算で600万円です。
つまり、VTを600万円以下で一気に購入する、という場合なら、完全に1回の購入手数料は、一律2500円か2650円ですむ、ということになります。
つまりどんなにお金持ちでも、500万円くらい貯蓄できたら、その時点でVTを買っていく、というスタイルが一番節約できます。
また1回購入のたびに手数料が3000円近くかかる以上、最低でも30万円たまってから購入をするのがオススメです。
これで実質、購入額ぶんの1%以下の手数料にすることができます。
1回の購入額をふやすことで、手数料を自分で安くおさえてコントロールすることができる、というのが海外ETF購入のさいのツボです。
結論としてETF(VT)は、30万円~500万円のあいだで買うようにする、というのがオススメです。
売却手数料についてですが、投信ではセゾン・バンガードGBFで、信託財産留保額として0.1%かかります。
国内ETFは前述のように個別株と同じ手数料。
VTなどの海外ETFは、購入手数料と同じぶんの売却手数料、すなわち一律2650円前後がかかります。
ですので売るときも購入時同様、30万円以上ぶん(円換算時)のファンドを、1回につき売るのがオススメです。
為替手数料は、日本円を米ドルや香港ドルに変えるときにかかる手数料です。(外貨から日本円に変える際にも必要です)
海外ETFの購入で必要になります。
基本どの証券会社も、片道1ドルあたりに0.25円(25銭)かかります。
為替手数料については手数料を格段にさげる、ちょっとした裏技があります。
SBI証券のFX口座をひらいている方なら、円投・ドル転目的で、米ドルを片道1ドルあたり0.8~1.2銭の為替手数料で、安く購入できてしまいます。(無論香港ドルなども安く買えます)
実質10分の1以上の手数料節約になりますので、SBI証券でFX口座をひらいているなら、VTの購入にはSBI証券を使いましょう。
ただしFX口座は仕事や資産のない人は開設しにくくなっている、また最低でも1万米ドルを一気に交換する必要があり、「1米ドル=100円」の為替レートとして、100万円程度を一気に買う必要がある、などの点に注意してください。
詳細は以下の記事を参考にしてください。
なお海外ETFは現地手数料、外国税、賦課金など、その他にも細かい手数料がかかることがあります。(SBI証券では現地手数料は無料です)
国内ETFであれば「特定口座・源泉徴収あり」が使え、売却益、配当金から自動的に税金がひきぬかれます。
海外ETFはネット証券でも徐々に特定口座の対応が進んでいますが、基本的にはまだ確定申告を考える必要があり、自分で税金をおさめます。
楽天証券は2014年、海外ETFに特定口座が確実に対応されますので、それ以降であれば、自動的に税金が納入されるようになり、税金で手間がかかることは一切なくなります。
VTを買いたい、しかし税金を自分でおさめるのが面倒、という人は、2014年以降に楽天証券でVTを買うようにすれば確実です。
また楽天証券でなくとも、SBI証券、マネックス証券でも、次第に特定口座が使えるようになっていくでしょう。
投資の税金と特定口座については、以下の記事をご覧ください。
投信よりもETFを買うのは、運用コストのさらなる削減が目的です。
ですので、最初は普通のインデックス投信で積立し、ある程度お金がたまったら解約して、内容の類似したETFを買い直すことで、信託報酬をさげる、という方法があります。
こうして投信からETFに乗り換えることを、リレー投資と言います。
リレー投資で注意すべきは、利益がでている投信を売るときには、税金がかかるということです。
他にファンドを買っていて、そちらのほうで損がでている場合は、一緒に売ることで税金をへらすことができます。(損益通算)
ただしこの方法は、確定申告をしている場合のみ有効です。
リレー投資は、100万円とか200万円とか、まとまった運用金額になってからおこなうのがオススメです。
手数料負けしてコスト減になっていないような乗り換えでは、リレー投資も意味がありませんので、その場合は結局、そのまま通常の投信を使うべきです。
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基本は上記のスタイルです。
同様に将来、毎月少しずつ解約するなら投信が、一気に解約するならETFがオススメになります。
基本的にETFが投信にまさっているのは、年間の管理費である信託報酬の低さのみです。
他の購入・売却手数料、最低購入額、再投資、流動性、税金の手間などの面を考えると、投資信託のほうが有利と言えます。
小さい額で頻繁に入出金をする、という場合にも、ETFよりもノーロード投信がむいていますが、そもそも資産形成目的の人は、投信自体も普通の銀行口座に比べると流動性が悪い、ということは改めて認識しておきます。
投信にしてもETFにしても、出金は最低限にとどめるべきです。
<まとめ・こんな人には投信よりETFがオススメ> |
結論を言えばETF(VT)は、投信(セゾン・バンガードGBFなど)を使っている忙しい人が、ちょっとだけ手間をかけて運用効率をよくしたい、という場合に使うものです。
ETFは玄人向けで、やはり多少の手間がかかるわけです。
面倒な人や忙しい人が資産形成するという場合は、やはり少し手数料がかかっても、VTよりも投信のセゾン・バンガードGBFか、世界経済IFを使用することが、オススメになります。
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