キャッシュフロー計算書(C/F)というのは、その会社のお金(キャッシュ)の流れ(フロー)をあらわしたものです。
キャッシュフロー計算書の大特徴としては、様式が統一されている・数字をごまかしにくい、ということです。
貸借対照表、損益計算書などの他の財務諸表では、費用が販管費になったり売上原価になったりなど、会計の仕方で会社ごとに違いがでてきます。
また最悪、特別損失を利用して営業利益を水増しするなど、利益や費用などの数字を、簡単にごまかすこともできてしまいます。
しかしキャッシュフロー計算書は、実際のお金の動きを記録したものですので、客観性にすぐれ、かつ信頼できる財務諸表と言えます。
数値は億円単位とします。
また、△はマイナスを意味します。
税引前当期純利益 | 500 |
---|---|
減価償却費 | 100 |
流動資産の増加 | △20 |
流動負債の増加 | 30 |
役員賞与 | △5 |
法人税 | △100 |
合計・営業活動によるキャッシュフロー | 505 |
定期預金への支出 | △10 |
---|---|
有価証券の増加 | △50 |
固定資産取得の支出 | △250 |
固定資産売却の収入 | 10 |
敷金・保証金の増加 | △80 |
合計・投資活動によるキャッシュフロー | △380 |
借入金返済の支出 | △10 |
---|---|
配当金の支払額 | △10 |
合計・財務活動によるキャッシュフロー | △20 |
現金および現金同等物の増減額 | 105 |
---|---|
現金および現金同等物期首残高 | 205 |
現金および現金同等物期末残高 | 310 |
まず、キャッシュフローには3つの種類があります。
営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)
投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)
財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)
そしてそれぞれの項目は、すべて貸借対照表(B/S)・損益計算書(P/L)の項目からぬきだすことができます。
営業CFの税引前当期純利益はP/Lに記載されているものですし、投資CFの固定資産についてもB/Sで記載されています。
つまり貸借対照表と損益計算書があれば、簡単にキャッシュフロー計算書は作ることができてしまう、というわけです。
これらの財務諸表をもとにキャッシュフロー計算書を作るこの様式を、間接法と言います。
キャッシュフロー計算書は直接法・間接法のいずれかで作成されますが、現状メジャーなのは間接法なので、こちらの様式で覚えておきます。
間接法においては、項目が費用であるにもかかわらず数字がプラス扱い、あるいは利益であるにもかかわらず数字がマイナス扱い、という不思議な現象も発生しますので、注意します。
たとえば営業CFの減価償却費については、費用であっても実際にお金を支払うことがないためプラス。
売掛金などの流動資産は、ふえても実際のお金はまだ入ってこない状態なためマイナス。
また逆に買掛金などの流動負債は、ふえても実際のお金はまだ出ていかないため、プラスにします。
それぞれ仮利益・仮費用と考えれば、プラス・マイナスが逆転することに納得しやすいです。
実際に利益・費用となったとき、あとあと数字のプラスマイナスはゼロになります。
C/Fは会社の儲けを記録するものではなく、あくまで実際のお金の動き、あるいはそのイメージを記録する決算書である、ということを忘れないようにします。
営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)は、本業にかかわるお金の動きです。
基本的に税引前当期純利益(あるいは経常利益)をベースにして、そこから収入と支出をたしひきしていきます。
<営業CFの項目の例>
数字の変動 | 抽出決算書 | |
---|---|---|
税引前当期純利益 | + | P/L |
減価償却費 | + | P/L |
流動資産(売上債権)の増加(減少) | -(+) | B/S |
流動負債(買入債務)の増加(減少) | +(-) | B/S |
役員賞与 | - | B/S |
法人税 | - | P/L |
売上債権はまだ回収していないお金で、流動資産のこと。
買入債務はまだ支払っていないお金で、流動負債のことです。
間接法による仮利益・仮費用で、プラスとマイナスの逆行する項目が多い中、法人税や役員賞与は素直にマイナスとなります。
営業CFは3つのCFの中でも一番重要になります。
営業CFが高いほどその会社は利益をあげており、商売が順調と言えます。
マイナスの場合は赤字で借入金頼りということになり、確実に悪性の株ですので、買うことはすすめられません。
特に損益計算書で純利益がプラスでも、こちらの営業CFがマイナスである会社は、信用ができません。
営業CFを見れば、具体的にどれほどの元手(運転資本・運転資金)で利益をあげているのかもわかります。
運転資本=流動資産-流動負債(あるいは売上債権+棚卸資産-仕入債務) |
他社と比較してみて、小さな運転資本で大きな営業CFの数字を形成できている会社は、効率的に優秀と言えます。
わちゃわちゃと複雑な項目が多いように見えますが、営業CFを良くする方法はきわめて単純で、業績結果である当期純利益をさらに拡大し、費用などの取引条件を改善していく、ということが要点です。
投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)は、投資におけるお金の動きの記録です。
株や債券といった有価証券の他には、工場、機械、土地など固定資産への設備投資が該当し、その購入・売却の記録をおこないます。
営業CFででた成果は投資CFにあてられ、将来のさらなるキャッシュの増加に役立てるのが基本です。
<投資CFの項目の例>
数字の変動 | 抽出決算書 | |
---|---|---|
定期預金の支出(収入) | -(+) | B/S |
有価証券の増加(減少) | -(+) | B/S |
固定資産の増加(減少) | -(+) | P/L |
敷金・保証金の増加(減少) | -(+) | B/S |
固定資産を増やそうとすれば支出するため、マイナス。
逆に減らせば売却益でプラスです。
投資CFの合計はマイナスが推奨です。
優良な会社ほど設備投資をおこないますから、だいたい投資CFはマイナスになります。
ただし、フリーキャッシュフローがマイナスになってはいけません。
フリーキャッシュフロー=営業CF+投資CF |
つまり営業CFを上回るお金で投資をおこなっている会社は、アウトということです。
しかし、何事も臨機応変に対応することが肝心です。
たとえば一年だけフリーキャッシュフローがマイナスになっても、それがしっかり効果のある投資であると判断できれば、その翌年から営業CFが増えるきっかけになります。
財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)は、借入金や社債、配当金などにおけるお金の動きに関連します。
<財務CFの項目の例>
数字の変動 | 抽出決算書 | |
---|---|---|
借入の収入(返済) | +(-) | B/S |
社債の収入(支出) | +(-) | B/S |
配当金の支払い | - | B/S |
優良会社は投資CF同様、財務CFもマイナスであることが多いです。
財務CFがプラスであるということは、新たにお金を借りている、ということを意味します。
逆にマイナスであれば、借金を返済している、ということを意味します。
最後に営業CF・投資CF・財務CFのすべての合計を「現金及び現金同等物の増減額」として算出します。
増減額が前期と比較して増えていれば、その会社は更に成長した、と判断できます。
<C/F理想の数値おさらい>
営業CF | + |
---|---|
投資CF | - |
財務CF | - |
(ただし営業CF+投資CFがプラスであることが条件)
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