当ページでは、ファミリーファンド(FF方式)とファンド・オブ・ファンズ(FOF方式)について解説します。
だいたい国際分散型・バランス型と呼ばれるパッケージの優良インデックスファンドは、このFF方式かFOF方式をとっています。
たとえば世界経済IF(世界経済インデックスファンド)が、ファミリーファンド(FF方式)に該当します。
まず世界経済IFが、私達投資家から運用資金のお金を集めます。
そしてそのお金を、世界経済IFでくんだアセットアロケーションにそって、世界経済IFと同運営の複数のファンドに、投資します。
このとき世界経済IFをベビーファンドと呼び、同運営の複数のファンドをマザーファンドと言います。
この全体的な構図を、ファミリーファンドと言うわけです。
世界経済IFの場合は、以下の6つのマザーファンドに投資しています。(カッコ内は連動指数)
|
このようにして、世界経済IFでは分散投資がなされているわけです。
投信ではマザーファンド、ベビーファンドが複数存在しています。
ベビーファンドではアセットアロケーションをくみ、マザーファンドではそれぞれ実際の、細かい局地的な投資をおこないます。
わかりやすく言えば、ベビーファンドはお弁当箱で、マザーファンドはその中につめこむ、おかずやご飯です。
このようにお弁当箱とその中身を別々にわけた仕組みにすることで、投信会社の負担は大きくへり、私達投資家としても、自分の好みのアセットアロケーションで、投信を買うことができるわけです。
たとえば長期投資を考えていて、世界経済に分散投資したポートフォリオをくみたいなら、世界経済IFという、たくさんのご飯やおかずが切り盛りされたお弁当を買います。
新興国の株式のみに投資したいなら、上述の「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」というおかずしか入っていないお弁当のファンドがありますので、それを買えばいいわけです。
世界経済インデックスファンドをはじめとして、三井住友TAM(トラストアセットマネジメント)が運用するSMTインデックスシリーズのファンドは、だいたいこのFF方式です。
その他、三菱UFJ投信のeMAXISシリーズもFF形式となります。
またFF方式は、すべて同じ運営内のファンドなので、ファミリーファンドだからといって手数料があがることもありません。
非常に優れたファンド運営形式と言えるでしょう。
いっぽうファンド・オブ・ファンズ(FOF方式)は、セゾン投信が該当します。
ひとつの投信が、運営外の複数のファンドに投資する形式のことを言います。
こちらは他社のファンドに投資する形になりますので、FF方式よりも手数料が高くなります。
FF方式 | 自社の複数のファンドに投資する(手数料が安い) |
---|---|
FOF方式 | 他社の複数のファンドに投資する(手数料が高い) |
セゾン投信のセゾン・バンガードGBF(グローバルバランスファンド)の場合は、以下の他社ファンドに投資しています。
(1)バンガード・U.S.500SIF
連動指数 | S&P500インデックス |
---|---|
具体的な投資対象 | 米国株式 |
(2)バンガード・ヨーロピアンSIF
連動指数 | MSCIヨーロッパ・インデックス |
---|---|
具体的な投資対象 | 欧州株式 |
(3)バンガード・ジャパンSIF
連動指数 | MSCIジャパン・インデックス |
---|---|
具体的な投資対象 | 日本株式 |
(4)バンガード・パシフィック・エックスジャパンSIF
連動指数 | MSCIパシフィック・エックスジャパン・インデックス |
---|---|
具体的な投資対象 | 太平洋株式(オーストラリア・シンガポールなど) |
(5)バンガード・エマージング・マーケットSIF
連動指数 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス |
---|---|
具体的な投資対象 | 新興国株式(アフリカ・ラテンアメリカなど) |
(6)バンガード・U.S.・GBIF
連動指数 | BGA・U.S.・GFABI |
---|---|
具体的な投資対象 | 米国債券 |
(7)バンガード・ユーロGBIF
連動指数 | BGA・ユーロ・GFABI |
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具体的な投資対象 | 欧州債券 |
(8)バンガード・ジャパンGBIF
連動指数 | BGA・ジャパン・GFABI |
---|---|
具体的な投資対象 | 日本債券 |
<略語の解説>
SIF=ストック・インデックス・ファンド
GBIF=ガバメント・ボンド・インデックス・ファンド
BGA=バークレイズ・グローバル・アグリゲート
GFABI=ガバメント・フロート・アジャスト・ボンド・インデックス
上述のように、セゾン・バンガードGBFでは、他社であるアメリカのバンガード社のファンドを輸入するような形で、アセットアロケーションをくんでいます。
FF方式がお弁当箱におかずをつめこむのであれば、FOF方式は、さらにいろんなお弁当箱を複数くみあわせるような形になります。
米国屈指の投信会社であるバンガード社を使うことにより、かなり精度の高い分散投資を狙えますが、投信の手数料が二重になり、高くなる、というデメリットもあります。
ファンド名 | 運用方式 | 信託報酬 |
---|---|---|
セゾン・バンガードGBF | FOF方式 | 0.74±0.03% |
世界経済IF | FF方式 | 0.525% |
セゾン・バンガードGBFはFOF方式としては信託報酬は安いほうですが、FF方式の世界経済IFの手数料と比べると、若干高くなることには、注意します。
またFOF方式は、優秀なインデックスファンドが運用方針としてもちいるいっぽうで、悪性ファンドが手数料を高くするための口実として使うケースもあります。
FOF方式のファンドを買う場合は、FF方式を買うより、連動対象をよく調べる必要があります。
手数料 | 運用精度 | 詐欺ファンド率 | 代表優良ファンド | |
---|---|---|---|---|
FF方式 | 低い | 低い | 低い | 世界経済IF |
FOF方式 | 高い | 高い | 高い | セゾン・バンガードGBF |
FOF方式が完全に悪、というわけではありませんが、やはり日本にはびこる悪性アクティブファンド寄りの方式である、という印象はくつがえせません。
この点について不安に思う人で、預貯金型の長期投資を考える場合は、世界経済IFを買えばいいと思いますが、世界経済IFはセゾン・バンガードGBFよりも新興国株式の比率が大きいので、リスクを大きくかけれる若年層むけである、ということも忘れてはいけない点です。
いずれにせよ銀行に死蔵しておくよりは、手数料のマイナス分を考えても総合的な利益向上を狙えるという意味で、結果的に双方のファンドは忙しい人にもオススメです。
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