このページでは、株価変動リスクの影響をうけず、なおかつ株を2日持つだけで株主優待をゲットできる方法について紹介しています。
株主優待は、株を権利付き最終日の1日さえ持っていれば、翌日の権利落ち日に売ってしまっても、その期間ぶん(基本は1年ぶん)の株主優待の権利は確定します。
しかし権利付き最終日に株を買い、権利落ち日に株を売って株主優待をとろうとすると、みんな同じことを考えるため、権利落ち日には株価が一気にさがります。
なので株主優待の利益を含めても、全体の利益はマイナスになることが多いです。
この損を完全になくす方法として、信用取引のカラ売り(信用売り)が使えます。
簡単に説明すると、権利が確定する前日に、株主優待を得たい株の現物買いと信用売り(クロス取引)の注文をおこなっておきます。
そして権利落ち日の寄り付き(始値)で、その2つを同時に決済してしまいます。
すると株価があがろうとさがろうと、株価変動リスクは完全に消失し、損益は固定されます。
そして株主優待の権利だけは得ることができる、というわけです。
信用取引についての知識が前提になりますので、ご覧になっていない方は前ページへどうぞ。
● 信用取引とは?
信用取引のカラ売りは、株価がさがれば稼げる仕組みになっています。
ですので現物買いの値下がりぶんの損を、それで相殺することができます。
どれだけ株価があがったりさがったりしようと、全体の売却益自体はプラスマイナス0となるわけです。
たとえば株主優待のほしい銘柄が株価1000円だったとき、通常の方法でそれを買っておき、その一方で信用取引のカラ売りで、証券会社からその株を借り、誰かに売っておきます。
このとき実質上カラ売りによる1000円(×単元株数)の利益と、通常買いによる1000円(×単元株数)の損失となり、プラマイ0の関係が成立します。
そして権利落ち日となって株価が900円まで落ちたとします。
そのとき購入していた株を売ることで900円(×単元株数)の利益、カラ売りしていた株を買いもどして、証券会社にその株を返すことで900円(×単元株数)の損失となりますので、やはりプラマイ0で相殺します。
これで実質上、株価変動による差損を完全に回避でき、かかる費用は手数料のみで、株主優待券をゲットできます。
<2日間の投資で差損なく株主優待を手に入れる方法の要点>
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この仕組みについてまだわかりにくいという人は、FXの取引を想像してみましょう。
信用取引は証拠金取引ですので、同じ証拠金取引のFXと非常に仕組みが似ています。
FXでは為替差損益といって、1ドル100円の為替レートの日に1万円で100ドルを買い、その翌月1ドル98円で円高となったときにその100ドルを円に戻すと、9800円になってしまいます。
このように普通に買うだけでは、円高になったさいには200円の損失があるわけです。
仮にこのとき、同額のドルで円を買っておいたらどうでしょうか?
1ドル100円のときに1万円で100ドル購入、同時に100ドルで1万円を購入する。
FXも証拠金取引なので、ドルを持っていなくてもドルをFX取引業者から借りて、それをカラ売りすることができます。
そして翌月1ドル98円になったとき、100ドルを売って9800円(200円の損失)にし、同時にドルで買っていた1万円を売ってドルにすると102ドル(2ドルの利益)です。
200円の損がでて、2ドルの得がでており、為替レートを吟味すれば、ほぼプラスマイナス0になっています。
この関係を、ちょうど株式の通常買いと信用取引の売建玉にあてはめるわけです。
FXではこんなことをやってもプラスマイナス0になるだけで意味がありませんが、株では株主優待を入手する際には、この方法が有効となるわけです。
信用取引でカラ売りする人があまりに多い場合、カラ売りしている人には逆日歩(ぎゃくひぶ)という手数料が発生します。
株主優待目的でカラ売りをおこなう人もいまでは当たり前ですので、やはり権利付き最終日には一気にカラ売りをする人が増え、逆日歩の発生も多くなります。
逆日歩は制度信用取引特有のもので、一般信用取引では回収されません。
そのかわり一般信用取引のカラ売りは、以下のようなデメリットがあります。
<一般信用取引で優待取りを狙う際の弱点>
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カラ売りの通常手数料である貸株料が高くなりますが、逆日歩の高さに比べたらたいしたことがない、という場合が多いです。
● 逆日歩の例
逆日歩は1株1日70円かかるものもあり、単元株数が100であれば、2日で1万4000円も手数料が回収されてしまいます。
確実に手数料負けしてしまいますので、こうした場合には、一般信用取引のカラ売りを利用したほうが賢いです。
また現物買いで発生する配当金は、結果的になしとなります。
これは、信用取引で売りポジションを継続し、権利付き最終日で権利を確定すると、配当金相当額という手数料が発生するためです。
ここで配当金と同じ金額の手数料を、買いポジションの人に支払う必要がでてきます。
優待取りの方法では、株主優待を無料で入手できますが、配当金がもらえないことに注意します。
株主優待の実質的値段 | 2000円 |
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現物買いの取引手数料 | 300円 |
信用売りの取引手数料 | 200円 |
貸株料 | 20円 |
上述の場合は「2000円-520円=1480円」で、実質1480円の稼ぎです。
貸株料は、権利落ち最終日と権利落ち日の2日分です。
慣れないうちは手間がかかって効率が悪いですが、慣れれば優待目的でないにしても、ちょっとした財テクになります。
ヤフオクで株主優待を転売する場合は、株主優待の価値が高い銘柄を狙っていきます。
一般信用取引で売建玉を保有できる証券会社として有名なものは、カブドットコム証券・松井証券・大和証券の3つです。
以下は2014年の数字です。
<現物取引の取引手数料比較>
約定代金 | カブドットコム | 松井 | 大和 |
---|---|---|---|
10万円 | 189円 | 無料 | 1050円 |
20万円 | 236円 | 315円 | 1050円 |
30万円 | 330円 | 315円 | 1086円 |
50万円 | 567円 | 525円 | 1811円 |
100万円 | 1039円 | 1050円 | 3622円 |
カブドットコム証券の現物取引手数料は「(約定代金×0.09%+90)×1.05」で計算されます。
上限は3874円です。1回の約定ごとにかかります。
松井証券はボックスレートにつき、1日の約定代金の合計金額で計算されます。
1日の取引回数がどれだけ多くても、下記の手数料で固定です。
10万円まで | 無料 |
---|---|
30万円まで | 315円 |
50万円まで | 525円 |
100万円まで | 1050円 |
200万円まで | 2100円 |
以降100万円増えるごとに1050円加算されます。
大和証券はネットを使用したダイワ・ダイレクトコースの手数料です。
約定代金が100万円以下の場合、約定代金の0.36225%が手数料となります。
また最低手数料が1050円に指定されているので、約定代金の0.36225%が1050円以下の場合、自動的に手数料は1050円にくりあげです。
大和は現物手数料が高くなりますので、あまり取引回数が多くなる場合は、ハッスルレートがオススメです。
ハッスルレートでは、1日の約定代金合計が300万円までなら、取引回数に関係なく1日の手数料が3150円で固定となります。
<信用取引の取引手数料比較>
約定代金 | カブドットコム | 松井 | 大和 |
---|---|---|---|
10万円 | 103円 | 無料 | 300円 |
20万円 | 187円 | 315円 | 300円 |
30万円 | 261円 | 315円 | 300円 |
50万円 | 471円 | 525円 | 500円 |
100万円 | 798円 | 1050円 | 500円 |
カブドットコム証券は最近、信用取引の取引手数料が大幅にさがっています。
また、1回の約定ごとにかかります。
松井証券では無期限信用取引が一般信用取引にあたります。
取引手数料は現物と同じ条件です。
大和証券の信用取引の取引手数料は、以下のように単純です。
50万円以下 | 300円 |
---|---|
50万円以上 | 500円 |
手数料は1回の約定ごとにかかります。
現物の手数料と比較すると、善良的な数字です。
また大和は信用取引でも、ハッスルレートが現物取引と同じ条件で使えます。
<その他の比較>
カブドットコム | 松井 | 大和 | |
---|---|---|---|
貸株料 | 年利3.9% | 年利2% | 年利1.5% |
銘柄数 | 2250前後 | 650前後 | 1500前後 |
優待取り狙いの場合、売りポジションを2日持つことになりますので、貸株料は年利を365で割って2をかけた数となります。
<優待取りに使える証券会社まとめ>
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ご覧のとおり、どの証券会社も一長一短です。
信用取引で優待取りを狙う場合も、証券口座が複数あると有利です。
逆日歩のない一般信用取引のカラ売りは、ただでさえ銘柄が少ないのもそうですが、証券会社の調整によってカラ売りができない状況もでてきます。
そうした場合は、別の証券会社を使うことで解消ができることもあります。
信用取引の優待取りを狙うなら、この3つの証券口座はかならず開設しておきましょう。
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