海外投資の中でも預金系投資では、しばしば外貨預金・外貨MMF・FXの3つが比較されます。
当サイトは海外への預金にはFXを一番オススメし、外貨預金、外貨MMFはあまりオススメしていません。
このページでは外貨預金・外貨MMFと比較したとき、どんなふうにFXがオススメになってくるのかを書いています。
FXが一番オススメできる理由はいろいろありますが、なによりもFXは「手数料が他の預金系投資とくらべて格段に安い」というのが、最大の理由であることを、結論として先に書いておきます。
文中の為替レートは、特に注意がなければ、1米ドル100円を前提とします。
|
いわゆる「普通の外貨預金」です。
海外預金の中でも一番オーソドクスな方法ですが、じつは為替手数料がFXなどに比べると、ものすごく高いです。
普通の銀行で外貨預金をしようとすると、外貨預金の為替手数料が1米ドル交換につき片道1円かかります。
仮に100万円ぶんを米ドルに変えて預金するとして、ふたたび円に戻したとき、100万円は1万米ドルなので、片道の為替手数料は1万円。
往復で2万円がかかります。
100万円-2万円=98万円 |
この2万円を為替差益や利子で補えないと、損をすることになります。
もちろん税金もひきぬかれます。
外貨預金ではさらに、日本円で米ドルを買うときの為替レート(TTS)と、米ドルで日本円を買い戻すときの為替レート(TTB)が違います。
これがスプレッドという形で、かなり大きなひらきがあり、ここでも手数料がかなりかかってしまうことに注意します。
基本的に通常の外貨預金は手数料地獄であるということを、覚えておきましょう。
外貨預金はどこの銀行も為替手数料が高いですが、ネット銀行を使えば、安くなる傾向です。
特に住信SBIネット銀行は秀でており、片道の為替手数料が1米ドルあたり9銭(0.09円)、往復0.18円ですみます。
楽天銀行ではこれが通常の為替取引と同じ片道25銭、普通の都市銀行では、片道1円がかかります。
圧倒的な安さですので、普通の外貨預金をするなら、住信SBIネット銀行がオススメです。
しかし、結局は米ドル片道1銭ですむSBIのFXの手数料の安さにはかないません。
FXもレバレッジをかけなければ外貨預金と同じ運用ができますので、為替手数料の面からも、外貨預金するならやはり断然FXです。
また外貨預金はペイオフの対象外であることにも注意します。
万一金融機関が破綻したら、お金が戻ってこない可能性があります。
その点FXでは、預金が保護対象になっています。
外貨預金にもメリットがないわけではありません。
それは、最低購入額が格段に安いということです。
1通貨からOKしているところが多く、住信SBIネット銀行や楽天銀行でも、米ドルが1ドル(100円)から購入できます。
これは外貨MMFやFXにはないメリットでしょう。
しかし前述のとおり、結局手数料やスプレッドなどで、費用負けしてしまうことが多いことに、注意してください。
国内の定期預金同様、外貨預金にも「外貨定期預金」があります。
しかしこれをするくらいなら、後述の外貨MMFや投信など、もっと流動性のよい金融商品を買うべきです。
|
外貨MMFとはMMFの外貨版で、日本円以外の通貨で、安全性の高い債券(ソブリン債)に分散投資をおこなう投資信託です。
2001年のエンロン事件を除けば、元本割れをしたことは一切ありません。
外貨MMFは厳密には預金系ではなく、債券系の投資になりますが、ほぼFXや外貨預金などの預金系投資と同じくらいの年利なので、よく比較されます。
国内のMMF同様いつでもとりだし可能で、実質上「いつでも解約できる外貨預金」という形になり、外貨預金よりも流動性の点ですぐれています。
また外貨定期預金以上の高金利になりますので、とりだし不可能な外貨定期預金にするくらいなら、外貨MMFがオススメです。
為替手数料については、だいたい外貨預金の半分くらいになっている銀行・証券が多いです。
ただし住信SBIネット銀行・SBI証券では、外貨預金の為替手数料(片道9銭)のほうが安いです。
楽天銀行・楽天証券では、外貨預金・外貨MMF、どちらも同じ1米ドル片道25銭です。
外貨MMFは他の海外投資と比べて、為替差益で利益がでても非課税というのがウリな金融商品です。
これはFXにもない魅力的なメリットですが、残念ながら外貨MMFも、2016年より為替差益に課税される予定です。
課税されるのなら、いよいよ外貨MMFよりも、単純に為替手数料が安くすむFXのほうがオススメになってきます。
外貨MMFは1000円から買え、最低5万円は必要なFXより、メリットとなる部分に思われますが、SBIの外貨MMFをはじめとし、最初に1000米ドルぶん(10万円)の為替取引を、前提とする銀行・証券が多い点に注意します。
(マネックス証券では1万円から買えます)
2014年時点での外貨MMFの年利の目安は、以下のとおりです。
<外貨建MMFの国ごとの年利比較(2014年)>
米ドル建て | 0.007~0.189% |
---|---|
ユーロ建て | 0.114% |
豪ドル建て | 1.871% |
NZドル建て | 1.924% |
南アランド建て | 4.161% |
米ドル建てMMFは、有名なものだと以下の3種類があります。
ファンド名 | 年利 | 販売会社 |
---|---|---|
ゴールドマン・サックス | 0.007% | SBI証券 楽天証券 |
ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド | 0.135% | SBI証券 楽天証券 マネックス証券 |
ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト | 0.189% | SBI証券 |
野村證券ではBST(ボンド・セレクト・トラスト)という、為替差益はもちろん分配金すら非課税という外貨建て債券ファンドがありましたが、これは2013年末に信託期間が終了しました。
(完全非課税なぶん、為替手数料はかなり高いです)
外貨預金は住信SBIネット銀行、外貨建MMFとFXはSBI証券です。
為替レートは1米ドル100円とします。(2014年時点)
外貨預金 | 外貨MMF | FX | |
---|---|---|---|
為替手数料 (1米ドル) | 9銭 | 25銭 | 1銭 |
最低入金額 | 100円 | 1000円(※1) | 5万円前後(※2) |
米ドル年利 | 0.05% | 0.189%(※3) | 0.146%(※4) |
税金(※5) | 課税20% | 非課税 | 課税20% |
取引時間 | 限定 | 限定 | リアルタイム |
レバレッジ | なし | なし | あり |
売りポジション | なし | なし | あり |
預金保護 | なし | あり | あり |
年齢制限 | 20歳以上から |
(※1)外貨MMFを含め、SBI証券では最初の為替取引額として最低1000米ドル(10万円)が必要
(※2)SBIのFXは1万通貨単位のため、レバレッジをまったくかけない場合、1万米ドル(100万円)が必要
(※3)外貨MMFのひとつ「ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト」の場合
(※4)米ドル円のスワップ金利が1万通貨で1日4円として、1年間ずっともらえると仮定した場合の概算年利
(※5)2016年には外貨MMFも20%が課税され、差はなくなる
<取引例・SBIで1米ドル100円時に100万円ぶん(1万米ドル)を購入し、損益を確定したときの往復為替手数料>
外貨預金 | 1800円 |
---|---|
外貨MMF | 5000円 |
FX | 200円 |
売買手数料・取引手数料・外国口座管理料は、それぞれすべて無料です。
各手数料については、大手銀行や総合証券を使うより、ネット銀行・ネット証券を使ったほうが格段に安いです。
総合証券は為替手数料がネット証券の2倍になったり、口座維持手数料など、ネット証券ではありえない手数料が発生したりします。
注意しましょう。
そのネット銀行・ネット証券の中でも、海外預金系で圧倒的に安い手数料ですむ投資法は、ご覧のとおりFXです。
FXは手数料の安さのみならず、リアルタイムで取引可能な流動性の良さ、なにより、売りポジションができるのがメリットです。
米ドルを持っていることにし、米ドルで円を買うことができますので、円高推移時でも利益をだせます。
唯一ネックなのが最低入金額の高さですが、レバレッジを安全圏の3倍程度にかけていれば、1万通貨を最低入金額としているFX業者でも、35万円前後の預金があればOKということになります。
また、SBI以外にもFX業者はたくさんあります。
SBIにしてもFXを本格的にするなら、SBIそのもののFXよりも、別運営であるSBI FXトレードがオススメです。
こちらは100通貨(1万円)が最低入金額となっています。
FXや外貨MMFでも、外貨預金同様、円に戻さず、外貨の状態のままひきだすこと(外貨両替)ができます。
外貨MMFはFXとくらべて低額の両替にも対応できますが、シティバンクなど外貨預金の口座を作る必要があります。
通常の外貨預金や外貨建MMFを否定するわけではありませんが、特に策略がない場合は、海外の通貨預金には、おとなしくFXだけを使っておくべきでしょう。
その他、外貨預金の方法としては、トラベラーズチェックを使った方法もあります。
外国の現金同様に使用できる旅行小切手で、外貨に交換するときよりレートがお得です。
あたりまえのことですが、これら外貨預金・外貨建MMF・FXは、外国債券・外国株式・投資信託・海外ETFといった商品と比べると、ローリスク・ローリターンです。
前項のFXのページでも触れましたが、年利7%以上の安定したリターンを得たいという場合には、ただ外貨を預金するだけでなく、外貨に預金した上で、投資信託や海外ETFなどで運用させ、世界の会社に分散投資することを考えましょう。
なおトルコやブラジルなどの新興国の国債を単体で買う場合は、年利が10%を越えるものがあります。
しかしカントリーリスクを伴う以上、これらに投資する場合は、くれぐれもアセットアロケーションの一部として、くみこむようにしましょう。
■ 次ページ 中期投資・短期投資の分析方法と注意すべきこと
<関連ページ>
<ほったらかしで月収100万円を継続的に稼ぐ方法>