債券とは金融商品の一種で、簡単に言えば借用書のことです。
金融商品の中では株に並んでよく扱われており、投資の代名詞のひとつです。
株同様、債券も値段が変動しますが、あくまで「借金」という扱いなので、基本的には期限がきたら、利子をつけて全額返ってきます。(償還)
ですから株と比べて、ローリスク・ローリターンです。
銀行にお金をあずけると、自動的に運用される債券もあります。
みなさんが銀行にお金をあずけることでうけとる利子は、この債券運用を銀行がおこなうことで入手できるものです。
代表的な債券には以下の3種類があります。
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もっぱら国債や地方債、政府機関債、国際機関債は公債とも言われます。
基本はすべて償還されるとは言えど、やはりリスクは完全にないわけではなく、値下がりすることもありますし、最悪デフォルト(債務不履行)といって、完全にその債券が無価値になることもあります。
デフォルトは、相手(国・会社など)に支払能力が見込めない場合に発生します。
国債については国がつぶれればデフォルトですし、社債についても会社がつぶれればデフォルトです。
投資の初心者に注意してほしいのは、国が発行している債券だからといって、必ずしも信用できるものではない、ということです。
とりわけ新興国・途上国ではデフォルトが顕著で、実際にデフォルトになった国としてはアルゼンチンが有名です。
国債がデフォルトすると、急激なインフレと自国の通貨価値の低下、そして金利高に襲われるので、そうした原因もあって、FXなどでは新興国・途上国の通貨を買って、スワップ金利をねらう人もいます。
一方で先進国の債券が完全に安全というわけでもなく、2013年ではアメリカがデフォルト危機。
日本の借金も1000兆円を越え、本来なら日本国債は、いつデフォルトになっていてもおかしくありません。
日本国債がなかなかデフォルトしないのには、少々特殊な事情があります。
日本がデフォルトしないワケについては長くなりますので、別の記事にまとめました。
参考にしてください。
現在日本はデフォルトをまぬがれてはいるものの、個人で日本国債を買おうとする外国人は、そこまで多くありません。
基本的に日本国債も危険視されていますので、注意してください。
公債を含めて、債券の信用力をはかる代表的なモノサシとして、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)や、ムーディーズ(Moody's)による「格付け」があります。
たとえばS&Pなら基本的に、AAAをもっとも信用度の高い格付記号とし、「AAA・AA・A・BBB・BB・B・CCC・CC・C」の9段階で債券を評価します。
ムーディーズであれば「Aaa・Aa・A・Baa・Ba・B・Caa・Ca・C」の9段階です。
双方、微妙に表記が違うことに注意してください。
もっぱら高格付けの投資適格債とされているのは、S&Pで言えば「AAA・AA・A・BBB」の4つで、これをソブリン債(ハイグレード債)と言います。
BB以下になると、低格付けの投機的格付債あつかいで、これをハイイールド債(ジャンク債)と言います。(ムーディーズの場合はBa以下でハイイールド債です)
性質上ソブリン債は先進国に、ハイイールド債は新興国に多いです。
ソブリン債は信用力があり、基本全額償還でリスクが低いので、そのぶん利回りも低くなります。
一方ハイイールド債は信用力がなく、デフォルトなどのリスクが高いので、そのぶん利回りも高くなります。
ここでもリスク&リターンの要素が大きくでることを、覚えておいてください。
ソブリン債 (先進国債券) | ハイイールド債 (新興国債券) | |
---|---|---|
S&P格付け | BBB以上 | BB以下 |
利回り | 低利回り | 高利回り |
リスク | 低い | 高い |
具体的な国債 | 米国債 英国債・日本国債 | アルゼンチン国債 ギリシャ国債 |
ちなみに、実際にデフォルトになったアルゼンチンの格付けはB、デフォルトしかけたアメリカ、借金大国の日本はAAです。(2014年時点)
米国債と日本国債の危険性については既述のとおりですが、ユーロ圏でも2009年にギリシャで財政赤字の粉飾が発覚、ギリシャ国債のデフォルト危機が懸念されてから、それまでAの格付けだったギリシャ国債はCへとさげられています。
米ドル、ユーロ、日本円という、世界三大通貨となっている国のソブリン債ですら、実際にデフォルトこそしてはいないものの、危機にさらされることはよくあるということを、覚えておくべきでしょう。
ソブリン債だろうとハイイールド債だろうと、リスクはあるのです。
債券を個別に買う場合、円貨建て債券には、個人向け国債・個人向け社債などがあります。
個人向け国債は、固定利回り3年・固定利回り5年・変動利回り10年の3種類があります。
1万円から投資可能で、最大で年利0.7%程度です。
SBI証券を使えば、個人向けではない通常の日本国債(利付国庫債券)を買うこともできます。
個人向けとの違いは、5万円からの購入であり、中途解約があると元本割れするぶん、利回りが高い点(0.9%前後)です。
個人向け社債としてはSBI証券で買える「SBI債」、マネックス証券で買える「マネックス債」がオススメです。
満期 | 最低投資額 | 年利 | |
---|---|---|---|
SBI債 | 1年 | 10万円 | 1.55% |
マネックス債 | 5年 | 1万円 | 1.5% |
どちらも格付けはBBBで高格。
債券の中でも人気商品なので、すぐに売りきれます。
地方債については楽天証券などで取り扱いがあります。
外貨建て債券(外国債券)にはユーロ建債券などの低リスク商品がある一方で、トルコリラ建社債、南アフリカランド建社債、ブラジルレアル建社債といった、ハイリスクハイリターン社債が多いです。
トルコ国債やブラジル国債のような新興国の国債は、ハイリスクなぶん、年利10%以上となるものもあります。
ひとつの債券を個別に買う場合は、基本的にどれも購入手数料が無料です。
まとまった債券を買う場合には債券ファンドを使います。
グローバルバランス型でも、株以外に債券を含めているファンドがあります。
以下、債券についてよく言われる特徴と、当サイトでの債券に対する見解です。
株がモノであるのに対し、債券はあくまで借金というお金なので、お金の価値に依存します。
ですからインフレ化・円安化で金利があがると通貨価値とともに債券価格はさがり、デフレ化・円高化で金利がさがると通貨価値とともに債券価格はあがります。
なので債券は、社会がインフレからデフレになるときに、ポートフォリオの比率を増やすのが基本です。
2010年代現在、銀行預金の金利がさがりにさがりきっていること、そして円高デフレの日本において、今後アベノミクス政策によるインフレ化・円安化が考えられることから、現在の日本債券への投資は基本的に不利と考えます。
株式を軸としたファンドは、数十年以上を見越して投資します。
一方債券ファンドは、満期が数年以内で設定されていることが多く、価格の変動幅が小さいため、大きな損失がでることはありません。
そういう意味では、債券を多めに資産運用するのは、お年寄り向けです。
若年層は債券よりも株を中心に組むことをオススメします。
もっぱら債券は、他の投資(主に株)のクッションとして使います。
株価がさがったときには債券価格があがりやすいので、それでリスク分散になります。
債券が今後のインフレ化・円安化で効率を見込めないこと、株のほうがハイリターンを見込めることから、長期保有を覚悟できる若年層なら、アセットアロケーションは株70%以上・債券10%以下でいいです。
お金に余裕のないお年寄りでリスクをあまりかけれない場合は、株50%以上・債券30%以下がオススメです。
そもそも債券というのは、銀行口座に預金するだけでも運用されますので、それを考えると、やはり投資の主役は株です。
株は債券とは違い、投資でなければ買うことができません。
また単純に株と比べて、ローリスク・ローリターンと言われていても、最近ではソブリン債でもデフォルトと隣合わせ、という印象が否定できません。
特に日本国債はただひたすら、日本の借金がたまっていく悪循環が完成しているため、買うのも不気味でしかたがありません。
短期で売買するぶんには問題ありませんが、デフォルトを危惧する以上、長期で保有するとかなり不利になるという、株とは逆のことが言えそうです。
そういう意味では、債券を買うなら、やはり海外債券(外債)が中心です。
忙しい人は個別に債券を買う必要はなく、基本的に株と債券の両方をとりいれた、グローバルバランス型ファンド(投資信託)を使用すればいいでしょう。
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