しばしば年会費有料の高級クレジットカードでは、「ラウンジ」という単語が頻発します。
ラウンジとは、一言で言えば「休憩場」のこと。
特にクレジットカードの場合は、「空港ラウンジ」をさすことが多いです。
旅行の行き帰りの途中のみ、空港で航空券とクレジットカードを提示することで、ラウンジを利用できます。
ただし空港ラウンジと言っても様々で、すべてのラウンジに入場可能なクレジットカードというのは存在しません。
ラウンジは大まかにわけて、以下の2つに分類できます。
カードラウンジ
航空会社ラウンジ
簡単に言ってしまうと、カードラウンジが貧相で、航空会社ラウンジが豪華です。
空港ラウンジは、だいたいゴールドカード級のクレジットカード所有で利用できますが、その多くが「カードラウンジ」と言われる、カード会社が提供するラウンジです。
ここ数年のゴールドカードの大流行により、カードラウンジの価値は一気に低下。
誰でも入れるため、こんでいたり、汚いなどのデメリットがあります。
いっぽうANAやJALなどの航空会社ラウンジは、ビジネスクラス・ファーストクラスの利用者用に作られていることもあり、しっかりしています。
ホテルバイキングのように豊富な飲み物・食べ物を、無料でいただけることが多いです。
お酒もありますし、レストランのように料理を無料で注文できることもあります。
入場者をしっかり選別し、ラウンジ自体にゆとりがあるため、こむこともあまりありません。
非常に清潔で、シャワールームもあります。
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空港ラウンジに入る現実的な方法は、以下の3種です。
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やはり経済的に優しいのは、もっぱらクレジットカードをからめた上述の3つの方法です。
基本的にそれぞれ、クレジットカードの年会費さえ払っていれば、あとは無料でラウンジに入場できます。
これ以外の方法だと、ラウンジ入場のたびにビジネスクラス・ファーストクラスの航空券を買う必要があったり、「ANA SUITE LOUNGE」の利用券をヤフオクでおとす必要があります。
参考までに、ヤフオクでの利用券の値段は5000円~1万円程度。
ノーマルのANAラウンジだけでなく、最上級の「ANA SUITE LOUNGE」にも入場可能となります。
単発利用にはいいですが、やはりヤフオクでいちいちおとすのが手間ですし、なにより値段的には高級レストランに行くようなものです。
いっぽう上級者むけのSFC・JGCを持っている人は、旅行のたびに毎回、その高級レストランに無料で行けるような状態となります。
SFCやJGCでも、年間固定費であるクレジットカード年会費は1万円程度ですので、やはり頻繁に旅行する人は、そちらのほうが節約となります。
なお上述3つのすべての手法に言えますが、年会費無料クレジットカードを使っている人からすれば、やはりラウンジにこだわるのは、お金持ち向けの思考です。
特にSFC・JGC取得を狙うなら、お金だけでなく時間・体力も必要になります。
それだけのお金や時間を費やしてでもラウンジを使いたいかどうかは、しっかり自問する必要があります。
そもそも飛行機で旅行する人でなければ、関わること自体のない要素です。
また感覚としては「高級クレジットカードの他の付帯サービスにプラスして、ラウンジのサービスもついてくる」程度のものです。
よほどの旅行好きでなければ、空港ラウンジの質をメインにクレジットカードを選ぶ人は、そんなにいないことにも注意しておきます。
最近の空港ラウンジの傾向として、カード付帯ラウンジとプライオリティ・パスの手法は、利用する顧客がふえたため改悪傾向。
上質なラウンジを低コストで使用したい場合には、ANA・SFCやJAL・JGCの取得を目指すしかない状況です。
目次
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クレカに付帯する空港ラウンジサービスは、だいたいが「カードラウンジ」とよばれる低質なラウンジのみ使用可能です。
特にヤングゴールドカードのような、年会費が5000円にも満たないカードについているラウンジは、使い勝手が悪いです。
もっぱら国内の空港ラウンジでしか使えないことも、しばしばです。
唯一例外があるとすれば、ダイナース・アメックスといったプロパーカードです。
ダイナースのプロパーカードに付帯するラウンジ利用は、後述のプライオリティ・パス並に海外での使用範囲が広く、成田空港でもKALラウンジのような航空会社ラウンジを含む、5つのラウンジが使用可能。
<第一ターミナルビル・使用可能ラウンジ>
IASS EXECUTIVE LOUNGE T1
T.E.I. LOUNGE T1
KAL BUSINESS CLASS LOUNGE
<第二ターミナルビル・使用可能ラウンジ>
IASS EXECUTIVE LOUNGE T2
T.E.I. LOUNGE T2
またアメックスのプロパーカードでも、プラチナカード以上でデルタ航空のラウンジ、センチュリオンカードで独自のセンチュリオンラウンジが使ます。
ただし後述のプライオリティ・パス同様、改悪がつづいています。
たとえばアメックス・プラチナでは、ワンワールド上級会員資格の付帯が終了。
サクララウンジなどのJAL系列の航空会社ラウンジが使用不可になっています。
いずれにせよクレカ付帯ラウンジは、ラウンジとは名ばかりで、あまり期待できるものではない、ということだけはおさえておきます。
複数の空港ラウンジにフリーパスで入場できるサービスとして、プライオリティ・パスというものがあります。
一種の連合のようなもので、プライオリティ・パスに加盟しているラウンジは、会員であればすべて使うことができます。
プライオリティ・パスは、クレジットカード自体に付帯するカードラウンジよりは、はるかに使用範囲が広くなります。
たとえば、低質となりますが一部の航空会社ラウンジや、検査場をこえた場所のラウンジも使用できますし、なにより海外のラウンジが使いやすいです。
<クレカ付帯ラウンジに対するプライオリティ・パスの優位性>
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このプライオリティ・パスは通常年会費がかかり、なおかつ利用ごとに都度料金もかかりますが、最近ではプラチナカード以上のクレジットカードに付帯するサービスとなっており、わざわざプライオリティ・パスそのものに加入する人は少ないです。
参考までに、以下が通常のプライオリティ・パスの年会費と利用料。
会員ランク | 年会費 | 都度料金 |
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スタンダード | 99ドル | 27ドル |
スタンダード・プラス | 249ドル | 27ドル (年10回まで無料) |
プレステージ | 399ドル | 無料 |
同伴者がいる場合は、同伴者の数だけ都度料金が+27ドル加算です。
普通クレジットカードで「プライオリティ・パスが付帯している」と言うと、だいたい年会費なしでプレステージ会員の資格が付帯する、という意味になりますが、まれにアメックス・ゴールドのように、都度料金が年2回しか無料化しなかったり、プライオリティ・パスを入手するには別途年会費が発生したりしますので、その点はよくクレジットカードごとにチェックしておきます。
クレジットカードの年会費さえ払っていれば、プレステージ会員の年会費399ドルが無料化し、都度料金もないというのが、プライオリティ・パス付帯クレカのメリットです。
また一部の高級クレジットカードであれば、同伴者の都度料金も無料化します。
<同伴者1名が無料化>
JCBザ・クラス(招待制)
アメックス・プラチナ(招待制)
MUFGプラチナアメックス(家族のみ)
ANAアメックス・プレミアム
<同伴者2名が無料化>
楽天ブラックカード(招待制)
アメックス・センチュリオン(招待制)
スルガ・VISAインフィニットカード(招待制)
同伴者の都度料金が無料化するカードは、ほとんど招待制になることに注意します。
<オススメのプライオリティ・パス付帯クレジットカード> |
同伴者の都度料金の無料化にこだわらずプライオリティ・パスを取得するなら、楽天プレミアムカードかJCBゴールド・ザ・プレミアがオススメです。
特に楽天プレミアムカードは、年会費税別1万円の最安でプライオリティ・パスをとれることで有名。
審査の難易度も非常に低いです。
また、JCBゴールドからの招待制になりますが、JCBプロパーカードの「JCBゴールド・ザ・プレミア」でもプライオリティ・パスがつき、年間100万円以上のカード決済があれば、楽天プレミアムカードと同額の年会費税別1万円ですみます。
ちゃんとしたプロパーカードで、なおかつコストをさげてプライオリティ・パスをとりたい場合にオススメです。
上位カードであるJCBザ・クラスの招待が更にあれば、同伴者の都度料金の無料化も狙えます。
プライオリティ・パスで同伴者の都度料金を無料化したいなら、一番手頃なのは年会費税別2万円のMUFGプラチナアメックスです。
招待制ではなく、自分から申込して作ることができます。
ただし基本、家族のみ適用。
MUFGプラチナアメックスは家族カードを作ることによって、その家族カード所有者にもプライオリティ・パスを与える、という仕組みです。
家族以外の都度料金の無料化であれば、地道に楽天カードやJCBプロパーカードで、楽天ブラックカードやJCBザ・クラスのインビテーションを待つのが、一番低コストです。
なお、ゴールドカード以上のクレジットカードを所有した程度ではたいしたラウンジは使えない、というのは前述のとおりですが、それは最近のプライオリティ・パスでも、わりと言えることです。
プライオリティ・パスもあるにこしたことはありませんが、やはりクレジットカードのおまけサービス程度にとらえておくのが、正解です。
実際成田空港で、プライオリティ・パスを使うことで入場可能なラウンジは、以下の5つのみ。
IASS EXECUTIVE LOUNGE T1
IASS EXECUTIVE LOUNGE T2
T.E.I. LOUNGE T1
T.E.I. LOUNGE T2
KAL BUSINESS CLASS LOUNGE
成田空港のラインナップについては、上述のダイナースクラブ・カード付帯ラウンジと同様。
IASSラウンジとTEIラウンジは、両方ともカードラウンジ。
KALラウンジ(大韓航空ラウンジ)は、プライオリティ・パスやダイナース・プロパーで入れる、成田空港唯一の航空会社ラウンジ。
カードラウンジにくらべると当然広さがありますが、それでもやはり狭く、こみやすいことには変わりがない、というのが実情。
飲食物は一応無料提供ですが、コンビニでよくあるおにぎりやカップラーメン等。
「海外旅行の行き帰りの休憩に、無料とはいえ、いちいちこんなところを使う気にはなれない」というのが、多くの旅行者の正直な所です。
まだ空港内のスタバで休憩してたほうが建設的、と考える人も多いでしょう。
また年々、プライオリティ・パスで対象となる航空会社ラウンジは減少傾向。
たとえばユナイテッド航空のラウンジが、使えなくなっています。
ですので成田空港の大韓航空ラウンジも、やがて使えなくなる可能性があります。
こうした背景から、やはりプライオリティ・パスも「いざというときにはあると便利」程度のものです。
「プライオリティ・パスを持っていれば、空港VIPラウンジが使える」とよく言われますが、ふたをあけてみると、実はそんなたいしたものではないのです。
印象としては、クレジットカード付帯ラウンジの二の舞という感じです。
わりかしプライオリティ・パスも安易に入手できるものになってしまったので、どんどん質がおちていっています。
本気で海外旅行にみあった、上質なANA・JALの空港ラウンジを低コストで使っていきたいなら、後述のSFC・JGCを狙っていく必要があります。
とはいえSFC・JGCを狙うのは、時間がある人むけとなりますので、時間のない人がラウンジを利用するのであれば、やはりプライオリティ・パスが一番お手頃なのは変わりません。
<カード付帯ラウンジのオススメ>
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上級者向けとなりますが、ANA・JALでは、航空会社ラウンジのほとんどが使い放題となるクレジットカード(SFC・JGC)が、条件つきで発行されています。
基本的にANAのSFC(スーパーフライヤーズカード)では、世界中のスターアライアンスの航空会社ラウンジ、JALのJGC(JALグローバルクラブカード)では、世界中のワンワールドの航空会社ラウンジが使い放題です。
プライオリティ・パスのようなはったりのラウンジではなく、こちらは正真正銘のANA・JAL正規の航空会社ラウンジ。
ANA・JAL提携のクレジットカードということで、やはり使える空港ラウンジのレベルは格段に高いです。
肝心のSFC・JGC発行条件は、以下のとおり。
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またJALの場合のみ、「FLY ONポイント年間1万5000ポイント以上、かつ50回以上の飛行機搭乗」の条件でもOK。
条件が達成されると、ANAではスーパーフライヤーズカード、JALではJALグローバルクラブカードの申込資格が発生します。
具体的な最短達成条件は、ANAであれば東京(関西)~沖縄(宮古・石垣)の飛行機往復を、プレミアム旅割で9回程度。
トータルの航空券費用は45万円~50万円程度です。
1年以内に達成しないといけないのが難点ですが、1回達成してクレジットカードを作れば、翌年以降はこんなことをする必要はありません。
カードの年会費をはらいつづけるかぎり、高級ラウンジ使用特典がつづきますので、旅行時に高級ラウンジを常時使っていたい人には、オススメとなります。
しばしばその苦行ぶりから、この短期間で飛行機にのりまくって条件つきクレジットカードを狙うことを「SFC修行・JGC修行」と言ったりします。
SFC・JGC修行の詳細については、別記事でまとめています。
● SFC修行とは? | プレミアムポイントの効率的なため方
またSFC・JGCを目指すなら、「きりかえ」に対応したクレジットカードを、あらかじめ作っておくことも重要です。
上述の5万ポイント達成によって発生するのは、あくまでSFC・JGCの申込資格です。
確実にカード審査にうかることを保証するものではありません。
SFC・JGCもクレジットカードの一種ですので、当然審査があります。
ただし前もってSFC・JGCへの「きりかえ」に対応したクレジットカードを作っておくことで、申込資格発生時には、審査なしですぐにSFC・JGCにチェンジできるというメリットがあるのです。
ANA・SFCとJAL・JGCのきりかえ用カードはいろいろありますが、オススメは以下のとおりです。
ANA → ANAワイドゴールドカード
JAL → CLUB-Aカード
両者ともに、修行を開始する前にカード作成しておくのがオススメです。
年会費はそれぞれ1万円前後。
メインの決済カードとして使わず、ANA・JALでの特典維持のためだけに使うなら、この2枚がコスパが良いです。
特に節約派は、ANA・SFCを作っておくのがオススメです。
ANAマイルはポイントサイトとソラチカカードを使えば非常にたまりやすいため、節約派にとってはJALよりもANAのほうが使用機会が多いです。
そのためSFCを作っておくことで、かなりの相乗効果があります。
ポイントサイトでANAマイルをためる方法は、別記事参照。
● 格安・無料で海外旅行に行く裏技 | ポイントサイトでANAマイルをすばやく稼ぐ
またSFC・JGCを持っていると、高級ラウンジが使えるだけでなく、空港の待ち時間が短縮したり、なにより特典航空券の予約がしやすくなる、という大きなメリットもあります。
旅行好きであれば、やはりそれだけでSFC・JGC修行は価値があります。
これが実質1万円前後の年間固定費で、上級ラウンジを使い放題になる仕組みです。
初期費用として航空ポイントをためるために50万円程度が必要になりますが、旅行ついでと思えば、楽しむこともできます。
しっかり1年以内に目標到達できるよう計画的に飛行機にのることも重要ですが、なにより楽しみながらやるのが、SFC・JGC修行の最大のコツです。
高級ラウンジを低コストで使うためには、ここまでしないと難しいです。
というのは、これくらい敷居をあげていかないと、結局航空会社ラウンジもカード付帯やプライオリティ・パスのラウンジみたく、すぐに利用者がふえて、人でうまってしまうためです。
この「修行」ができない場合は、おとなしくプライオリティ・パスのラウンジを使うか、ヤフオクで「ANA SUITE LOUNGE」の利用券をおとすしかありません。
SFC・JGCを狙うかどうかは、使用頻度にもよります。
やはりよほどの海外旅行好きで、年に何度も飛行機にのる機会がなければ、修行してもあまり意味はないです。
ラウンジといえば通常空港ラウンジですが、京都ラウンジやディズニーランドラウンジなど、空港以外にも使えるラウンジが、プロパーカードを中心とする高級クレジットカードでは、しばしばあります。
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ダイナース・プレミアムで入れる銀座ラウンジでも、無料で飲み物・高級菓子がもらえます。
仕事先や旅行先の休憩にオススメです。
参考までに、私が実際に行ってきた京都・圓徳院ラウンジ(アメックス・ゴールド付帯)のレビューを、別ページにて書いています。
圓徳院ラウンジは数あるラウンジの中でも非常に風情がありますので、京都観光が好きな方には、アメックス・プロパーはオススメです。
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